ふと目覚めると、青暗い夜に白い丸が見える。
見たことのない景色。ここではないどこか。
僕は数瞬、ぼぅっとしてその限りなく眩い月を見上げた。
白い光の輝きはがあまりにもまっすぐすぎて、痛い。
夜だ。
意識が自覚を取り戻すと飛び起きる。
「ここどこ!」と焦りと戸惑いの言葉が口に出るけどなんのことはない、自分の部屋だった。
なんのことはない、いつもとは頭の向きを逆にしたうたた寝が深い昼寝に変わってしまっただけなのだ。
時計を確かめるとまだ夕刻にすぎない。
遅刻はしないだろうと思うと安堵の吐息が漏れた。
時計から視線を窓に映して限りなく真円に近い月を見つめる。
すでにかなり高く昇ったその月はどう観ても満月なのに
カレンダーは「小望月」と異名を表していた。
本当の満月は明日の夜なのだ。
小さい望みの月。
言葉遊びのように言い換えて、ふと小さな笑みが溢れた。
そう、今日は僕の小さな望みの叶う夜だ。
とても待ち望んだ、とてもささやかな祈りの夜。
聖夜には一日早い。
だけどこの月の下を歩くすべての人の望みが叶う夜でありますように。
そう僕は、願いたい。
2007年12月23日記