「大好き」ってどこから生まれるんだろう。
僕はずっとそう思っていた。
たった、一文。
一枚の、写真。
聴いたことのない、ワンフレーズ。
見たこともない、メロディ。
ただ、それだけ。
それだけなのに「好きだ」という気持ちが体を駆け抜ける。
頭や心より体のほうがずっと素直だ。
いつの間にか夢に見てるんだ。
君に抱きしめられて眠る夢を。
僕は浅はかで衝動に駆られていつのまにか「大好き」って言っている。
受け入れてもらえるときもあれば、お断りされるときもある。
どちらにせよ、言ってから考える。
「僕は彼のどこが好きなんだ?」って。
観察する。
思考する。
思索する。
答えにはなかなか辿り着けないけど、悪くない過程だ。
だって気持ちいいから。
君のことを考えている、その時間そのものが。
もう、頭の中に君が住みすぎて考えているという感覚すらない。
「脳が二つあって、一つで生活して、もう一つはいつも彼のことを考えているみたいだ」
そういったら友人に呆れられた。
そりゃあ、そうだろう。
僕でも呆れるよ。ううん、手のつけようがないね。
昔、別れた恋人に聴いたことがある。
「僕のどこを好きになったの?」と。
彼は言った。
「プロフィールの『死ぬ瞬間すらシャッターを押していたい。 』の一文を読んだとき」って彼は答えた。
僕は顔色を変えなかったけど正直照れた。
やっぱり、自分の一番本当に大切なところに切り込まれると照れるものだ。
こんな風に「大好き」は南太平洋の海上に生まれる台風みたいに予測外に生まれて、知らぬ間に育つ。
上陸したときは手遅れなんだよ。
あとはなぎ倒されるか、頑張るだけ。
頑張るってなにを?
んー……ずぶ濡れになりながら撮り続けることを、かな。
それにしても。
顔も、声も、体も、空気も、髪も、生み出す作品も、どれも好きすぎて僕は参る。
閉じ込めて隠しておけるような人でもないから、尚更。
たぶん手のひらで踊らされている悟空が、僕。
でもどうせ踊るなら二人のほうが楽しいよ。
きっと、きっとね。
BGM:「Love Is The Answer」 Studio Apartment
2008年1月21日記す