空が暮れ泥み、夕闇へと変わる頃、雪も溶けて消えていった。
木の根元、建物の陰に残る白いものを観ながら気持ちを見つめる。
名残はある。証拠もある。
ただいまはもう、感慨がわかない。
はっきりとしたものと消えていくもの。
手に残らない、気持ち。
それはまるで雪のようだ。
願っても、永遠には手に入らない。
過ぎ去りゆく風の音はとても不思議で、誰にわからなくともわかる。
少なくとも、私にだけは。
雪も風も水も流れ、変化する。
止まり、固まるならそれは雪ではない。
ただの氷に過ぎない。
氷ではいたくない。
気化して消えてしまいたい。
この胸の水滴と、共に。
時間は経過し、精神は変化していく。
春の目覚めのように、気づきのときが来る。
それをもって私は
すべてを終わりにしようと思う。