火曜日。
ささいな口論から小さな頃の哀しい想い出を思い出した。
暴力と暴言に彩られた幼かった日々の記憶。
蘇る過去が辛すぎて、涙が止まらなかった。
どうしても一人で抱え込むことができず、友達に助けを求めた。
逗子に遊びに行く途中だった彼は、急遽鎌倉に来てくれた。
ひさしぶりに顔をあわせ、昼食を共に食べる。
心の中のさざ波を話すうちに、私は落ちついてきた。
木曜日。
知りあったある人と電話で話す。
「自殺をテーマに作品を作りたいと思っているんだ」と打ち明ける。
すると「僕の父も自殺で亡くなったよ」と彼が言う。
お互いの小さな頃の話を少し、話す。
私より過酷な環境で育った人の話を聴いた。
皮肉なことに、彼の話を聴くうちに私は私の父のことを想った。
そして、私の父がいま生きていてくれて良かった、と思った。
人間は深い闇と眩い光の狭間を生きている。
そのコントラストは強く、時に目的地がわからなくなる。
そんな時に大切なのは、生きていることそのものに感謝することなのだと思う。
私は父のことを愛しているし、同時に憎んでもいる。
どうしてあんなことをしたのだろうと、いまでも思う。
だけど、そうした葛藤を含めたまま、彼が生きていることを喜んでもいいのだと知った。
人間は矛盾した生き物で、その矛盾と共存することで生きていけるのかもしれない。
生きていてくれて、ありがとう。
活かしてくれて、ありがとう。
感謝をすることを想い出すことが、私を救っている。
同時に闇の中で光を射してくれた大切な人たちに、いつか恩返しができたらと願っている。