Hazuki Natuno

Hazuki Natuno

Menu
生きていてくれて、ありがとう

生きていてくれて、ありがとう

Back to blog list

火曜日。
ささいな口論から小さな頃の哀しい想い出を思い出した。
暴力と暴言に彩られた幼かった日々の記憶。
蘇る過去が辛すぎて、涙が止まらなかった。
どうしても一人で抱え込むことができず、友達に助けを求めた。
逗子に遊びに行く途中だった彼は、急遽鎌倉に来てくれた。
ひさしぶりに顔をあわせ、昼食を共に食べる。
心の中のさざ波を話すうちに、私は落ちついてきた。

木曜日。
知りあったある人と電話で話す。
「自殺をテーマに作品を作りたいと思っているんだ」と打ち明ける。
すると「僕の父も自殺で亡くなったよ」と彼が言う。
お互いの小さな頃の話を少し、話す。
私より過酷な環境で育った人の話を聴いた。
皮肉なことに、彼の話を聴くうちに私は私の父のことを想った。
そして、私の父がいま生きていてくれて良かった、と思った。

人間は深い闇と眩い光の狭間を生きている。
そのコントラストは強く、時に目的地がわからなくなる。
そんな時に大切なのは、生きていることそのものに感謝することなのだと思う。
私は父のことを愛しているし、同時に憎んでもいる。
どうしてあんなことをしたのだろうと、いまでも思う。
だけど、そうした葛藤を含めたまま、彼が生きていることを喜んでもいいのだと知った。
人間は矛盾した生き物で、その矛盾と共存することで生きていけるのかもしれない。

生きていてくれて、ありがとう。
活かしてくれて、ありがとう。
感謝をすることを想い出すことが、私を救っている。
同時に闇の中で光を射してくれた大切な人たちに、いつか恩返しができたらと願っている。

Archive

New post