Hazuki Natuno

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桃と、果実酒のはなし。

桃と、果実酒のはなし。

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私の家には、友人に譲られた何本かのお酒がある。
ウォッカ、ズブロッカ、ウィスキー、焼酎とどれも度が強いお酒ばかりだ。
そのままでは、下戸に近い私には飲めない。
だから、果実酒を作りたいと思っていた。

昔、梅酒とライチ酒を作ったことがあった。
お酒の種類にこだわりたくて、梅酒は泡盛とホワイトバカルディの二種類のお酒で作った。
長い時間をかけて漬け込んだせいか、どちらの梅酒も良い味になった。
あの時間を漬け込んだような甘い酒を、もう一度作りたいと思った。

お酒は何種類もあるから、複数のお酒が作れる。
さて、どんなお酒を作ろう。
ずっと探していた使いやすそうな瓶も、二種類見つかった。
私はうきうきしながら、八百屋で果物を選んだ。

大きそうな桃が軒先に並んでいる。
艶やかな皮は、赤ちゃんのほっぺたにも似ている。
私は一つ目の瓶には桃のお酒を作ろうと決めた。
もう一つの瓶には紫蘇酒を作ることにした。

丁寧に瓶を洗い、煮沸消毒する。
乾くひとときすら、待ち遠しい。
待つあいだに、桃を剥き、紫蘇を洗う。
瓶の底に氷砂糖を敷き詰めた。

peach

一番大きな瓶に、皮を剥いた桃を入れようと試す。
瓶の口より桃のほうが大きかった。
まるで、私の食欲みたいで少々気恥ずかしい。
私は瓶に入るように、桃を切り直した。

shiso

紫蘇はもう一つの瓶に、立てるように入れる。
透明な瓶の中に、氷砂糖と桃と紫蘇が入っているだけなのに、宝石のように見える。
どんな味になるか、心弾みながら、合わせる酒を選ぶ。
私は桃の酒にアレキサンダーというズブロッカを、紫蘇の酒に麦焼酎を選ぶと、ゆっくりと瓶に注いだ。

peach

さて、入りきらなかった桃がほんの少し余った。
私はマスタードが入っていた瓶も煮沸消毒していたことを思い出した。
小さな瓶に氷砂糖と桃を少しだけ入れると、そこに余った麦焼酎とスミノフというウォッカを注いでみた。
熟成したら、ズブロッカの桃酒と味くらべをしてみても、楽しいだろう。

まだ未完成の果実酒たちを窓際に並べる。
光に透けた瓶はきらきらと輝いていて、私は思わず夢中でシャッターを切った。
瓶の中の桃は寛いでいて嬉しそうで、紫蘇は生き生きとしている。
過ぎ行く季節を詰め込んだ瓶たちを眺めて、私は幸せな気持ちになった。

【桃の果実酒の作り方】

・桃
・氷砂糖(完成を速めたい場合はグラニュー糖)
・スピリッツ(焼酎、泡盛、ラム、ウォッカなど)

■作り方
1:瓶を丁寧に洗い、煮沸消毒かアルコール消毒をする。
2:桃の皮をむいて適当な大きさに切る。
3:果肉と種を広口壜に入れ、砂糖と一緒に漬け込む。
4:2週間程で飲めるようになる。3ヶ月程熟成させるとより味わい深くなる。

※桃の皮を剥かないレシピや、レモンを入れるレシピなど複数ありますので、お好みのレシピでお作りください。