Hazuki Natuno

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「撮りたい」という気持ちの回復

「撮りたい」という気持ちの回復

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昨年からずっと、カメラが重いと感じていた。
結婚した前後からだろうか、何かを撮りたいと思う気持ちがどんどん無くなっていた。

カメラが石のように重い。どこにも出歩きたいと思えない。
まるでカメラが手枷かあるいは足枷のように感じていた。
なにかを撮ること、なにかを思うこと、そもそもなにかを美しいことも思うこともなくなっていた。
海で溺れるというのはあのような気持ちであるのかもしれない。

10月に宮古島と多良間島を旅行して、自分の中で何かが変わった。
ただ単に旅が楽しかったのかもしれない。
あるいは異なる土地の美しさに私の中のなにかが目覚めたのかもしれない。
ずっと撮りたいと思えなかった気持ちが、ようやく回復した。

なにかを撮りたいと思うこと、あるいはなにかを美しいと思うこと。
そんな当たり前な心の感受性の回復が私には必要だった。
ただ美しいと思い、ただ感動する。
そんなシンプルなことを忘れるほど、以前の私は生活に忙殺されていた。

結婚と離婚。夫との別れと母との和解。小笠原諸島への再移住。
こうした一つ一つの出来事が、私の心をようやく枷から外してくれたのだと思う。
ようやく撮りたいと思えたこと、そのことがとにかくとても嬉しい。
いまはただ回復期のように、少しずつ撮りたい。
撮りたいという気持ちを大切に、日々の日常を送りたいと思う。