Hazuki Natuno

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青空に、チャイナドレスを干して

青空に、チャイナドレスを干して

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夏の終わりだというのに日差しは強い。
気が紛れるよう布団を干す。
見上げれば、それは青くて。
当たり前のように、青くて。

ふと思い立ってチャイナドレスを手に取る。
上海で買った二枚のドレスはいままで着られなかった。
木綿の、藍染めの型も鮮やかな生地が私には眩しすぎたから。
もう若いと言えなくなって初めて、この夏着る気持ちになれた。
若さは過ぎてから初めて感慨を人にもたらす。

たぶん私はこのドレスをあと何回も着ない。
でも目にも鮮やかなこの色彩を忘れない。
壁に幾たびも飾り、飽きるほど目で楽しみ
でもいつか姪か誰かに強請られて譲るのだろう。

強風がドレスを嬲る。秋風が夏を連れ去っていく。
それを切ない想いで見守ると、
吹き飛ばされないようハンガーを抑えた。

2006年9月2日記す