今日は大学の研究資料用写真撮影の仕事だった。
けれど、アポイントが上手くいかず、撮影ができなくなった。
残念な気持ちをかかえながら、替わりの撮影場所を探すために鎌倉を歩いた。
人混みが苦手で、普段は歩かない小町通りを歩いていると、着物姿でコクリコのクレープを食べる女性二人を見かけた。
大正ロマン風の華やかな着物とクレープの食べる姿は妙に似合っていて可愛らしく、思わず「撮らせていただけませんか？」と声をかけていた。
突然の申し出に、二人は笑顔で快諾してくれた。

お二人と話しながら、鶴岡八幡宮まで歩く。
辻堂に住む由圭さんと、静岡から来た樹里さん。
話す声が鈴を転がすように可愛い二人だが、やはり慣れないカメラの前では笑顔が少しぎこちない。
それでも枚数を撮るうちに、リラックスした表情を見せてくれて良い写真が何枚も撮れた。
鳥居を背に、舞殿の前で、おみくじを引きながら。
自然と撮ること、撮られることを楽しむお互いがいて、とても良い時間が過ごせた。

二人と別れた後、空を見上げたら雲の切れ目から青空が見えた。
夕陽が焼ける予感がして、材木座海岸へ足を伸ばした。
夕焼けには恵まれなかったけれど、暮秋の海は凪いでいて、美しかった。
私は時に迷う。けれど、カメラとレンズが光を見つけて導いてくれる。
そんな光との出逢いが私を鎌倉に導いてくれた。
そのことに深く感謝しながら、海に別れを告げ、家路へと足を向けた。