Hazuki Natuno

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「写真」ってなんだろう? 〜「光」を意識して、撮影してみよう〜

「写真」ってなんだろう? 〜「光」を意識して、撮影してみよう〜

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こんにちは、夏野葉月です。
写真を撮影するための基礎について学ぶシリーズ、「『写真』ってなんだろう?」。
2回目のテーマは「光」についてです。

1回目の記事では「写真は『なにを伝えたいか』と『光』が大切」だとお伝えしました。
写真は光が必要な芸術であり、また撮影は光によって効果の変わる技術です。
思い通りに撮影するためには、光について学ぶことがとても大切になります。

では光にはどんな要素があり、それは写真にどのように作用するでしょうか。
光には大きくわけて「種類」「色温度」「時間」「角度」「環境」が影響します。
この5つの要素について、順番に学んでいきましょう。

1:光には「自然光」と「人工光」がある

皆さんは光をどのようにとらえていますか?
毎日の生活の中で光を見たときに「今朝の光は柔らかい」「今日の太陽は眩しい」そんな風に感じたことはありませんか?

光は大きくわけて「自然光」と「人工光」があります。
自然光は文字どおり、太陽や月や星などの自然環境からもたらされる光です。
朝日や夕日も自然光ですし、月光や星明かりも自然光ですね。
対する人工光とは、電灯や街路灯やストロボも含む人工的に作られた光のことです。
ろうそくや白熱灯や蛍光灯、LEDライトも人工光です。

自然光と人工光は光の効果が違います。
太陽光や白熱灯などそれぞれの光は異なった色温度があります。
また昼間の窓辺で撮影するときに室内灯もつけるなど、自然光と人工光を混ぜた環境で撮影することもあります。
こうした「光の種類の違い」を意識し、自分が撮影している光がどのような種類で、どんな効果をもたらすかを考えることはとても大切です。

左の写真は鎌倉市のカフェで自然光での撮影。日中の太陽の下でスイーツとお茶を撮影してみました。
右の写真は鎌倉市のバー「BANK」で人工光で撮影。夜のバーで、店内の灯りだけで撮影してみました。
2枚とも飲食店という環境でガラスの器が被写体ですが、これだけ印象が異なるものが撮影することができます。


 

2:光には「色温度」がある

先ほど「光には種類がある」「光には異なった色温度がある」と書きました。
では「色温度」とはなんでしょうか?
色温度(英語:color temperature)とは、自然光や人工光などの光源が発する光の色を表すための尺度(単位)のことです。
色温度の単位はケルビン(K)で、カメラなどでは「数字+K」と表示されます。

光は色温度であるケルビンの数字が低いほど暖色系の色になり、高いほど寒色系の色になります。
自然光の朝日や夕陽の色温度はおよそ2000Kです。日中の太陽光は 5000~6000K程度です。
人工光では、ろうそくが約2000K、白熱色の電球が約2800K、昼白色の電球が約5000K、昼光色の電球が約6500Kになります。

また色温度は撮影時の環境による光以外に「撮影時のカメラ設定(ホワイトバランス)」「画像加工ソフトによる設定(色温度)」などでも変えることができます。
カメラには撮影シーンにあわせて色温度を選べる設定があります。
この機能を「ホワイトバランス」と言います。
ホワイトバランスには、「太陽光」「白熱灯」「蛍光灯」などの既にセットされた設定の他に、数字で「5200K」など色温度を指定することもできます。
またスマートフォンによっては画像加工ソフトがありますが、この中にも「色温度」を変更できる機能があることがあります。

この2枚の写真は鎌倉の稲村ヶ崎公園から見える江ノ島を撮影しました。
1枚目の写真は日中の太陽光で撮影しました。色温度は5200Kぐらいです。
2枚目は夕方の日没を撮影しました。色温度は2300Kぐらいです。
同じ場所で撮影しても、光の色と色温度が異なることがわかります。

光には「色」があり、その色は「色温度」で表すことができる。
色温度は自然光は撮影時の時間帯、人工光は電球などの種類で変わる。
そして色温度は撮影時にはカメラの設定、撮影後は画像加工ソフトで変えることもできる。
この色温度の基礎知識はとても大切なので、しっかり覚えておいてくださいね。


 

3:光は「時間」と「季節」によって変化する

光には「種類」があり、「色温度」がある。
この色温度に影響するのが「時間」と「季節」です。
色温度の項目に書いたように、光の色温度は変化します。
また光の強さや量は時間と季節によって変化します。

色温度の項目で「朝日や夕陽は色温度の数値が低く2000Kほど、日中の太陽光は5000K〜6000Kで色温度の数値が高い」と書きました。
同じように、朝や昼や夜といった1日の時間によって、光の強さや光量は変化します。
また、こうした光の強さや光量は季節によっても変化します。
春の朝の光は淡く、夏の昼間の太陽はきらきらとまばゆいですよね。
これは時間や季節によって、太陽が地表とどのように近づきあるいは離れているかに関係しています。

あなたが撮りたい写真が「優しい写真」なのか、「はっきりした写真」なのか。
こうした写真を撮りわけるには「時間」「季節」「環境」による光の変化を意識し、自分の撮りたいイメージに最適な光を自ら演出する必要があります。
まずは光の強さや光量の変化を意識し、「どうしたら撮りたい写真に最適な光を得られるかな」「いまの光の環境の中でベストな撮り方はなんだろう?」と光と対話しながら撮影してみてくださいね。

この2枚の写真は2016年3月21日、鎌倉市七里ヶ浜で同じ家族を撮らせていただいたときの写真です。
同じ場所、同じモデルでも時間帯が変われば太陽が移動するので、異なった写真になるのがわかります。


 

4:光は「環境」により変化する

先ほど「時間」「季節」「環境」による光の変化を意識して自ら演出する必要がある、と書きました。
では光の「環境」とはなんでしょう?
それは「地域」「場所」「天候」にわけて考えることができます。

地域は「あなたがいま撮る場所がどのようなエリアか」を考えるということが大切になります。
時間と季節の項目でも述べたように、光は太陽と地表との距離が大切になります。
同じ日時に撮影する場合でも、あなたが撮る地域が北欧と赤道近くの国だった場合、まったく異なった写真映りになります。
同じように、日本で撮影する場合でも東北と沖縄で撮る場合は異なった表現の写真になるでしょう。
これは光だけでなく、湿度や天候も影響します。
つまりどこで撮るかということは、光を選ぶことでもあります。
そして光の変化は、写真に深く影響します。

また「場所」も大変重要な要素です。
同じ日時、同じ地域で撮影しても、山深い森で撮るのと海のそばで撮るのでは光の環境が変わります。
仮にほぼ同じ場所で撮影しても、木陰で撮るのと日向で撮るのは全く違う写真になります。
同じように太陽が燦々ときらめく時間に撮るのと、少し曇った時間に撮るのでは異なった写真になります。
撮影の場所は地域以上に選ぶことが可能です。
必要なイメージにあわせて、被写体の位置と撮影する自分の位置を調整して撮ることもとても大切です。

最後に「天候」です。
天気というのは「温度」「湿度」「風向き」も含め、光に大きな影響を及ぼします。
晴れた日と曇りの日と雨の日では、同じ場所と時間で撮影しても、違う写真映りになります。
良い天気の日だけでなく、雪の日や大雨の日もいつもとは違った良い写真が撮れることもあります。

次の2枚の写真は2016年3月に鎌倉市材木座海岸で撮影しました。
家族の写真は朝に、女性の写真は夕方に撮りました。
天気も晴れた日と曇りの日でこれだけ違います。
場所が同じでも、時間や天候でこれだけ違った写真になります。
自分が撮りたいイメージを撮るために、ベストな天気の日を選ぶということを心がけてみてください。


  

5:光は「角度」によって効果が変わる

最後に光の「角度」について、学んでみましょう。
被写体の位置と撮影者の立つ位置によって、異なった光の角度が生まれます。
「順光」「逆光」「斜光」「ななめ順光」「ななめ逆光」です。

「順光」とは、被写体に正面から光が当たっている角度のことです。
「逆光」とは、被写体の後ろに光源がある角度のことを言います。
「斜光(サイド光)」とは、被写体の真横に光源があり、真横から光が当たっている角度を言います。
「ななめ順光」は、被写体の正面やや斜めから、光が当たっている角度のことです。
「ななめ逆光」は、被写体のややななめ後ろから、光が当たっている角度を言います。

下の女性の写真は1枚目が「順光」、2枚目が「ななめ順光」、3枚めが「ななめ逆光」、4枚目が「逆光」です。
撮影場所は鎌倉市の鶴岡八幡宮で、2名の着物の女性にモデルになっていただきました。
同じ女性の写真でも、光の角度で写真の表現が変わり、別の女性にも見えてくるのが不思議ですね。

この5種類の光の角度は、自然光でも人工光でも常に影響します。
どんな写真を撮るときでも、「いま順光かな」「逆光で撮るとどんな風になるかな」など、光と角度を常に意識してみてください。


 

6:まとめ 〜「光」を意識して、撮影してみよう〜

光は写真を撮るうえで欠かせない、非常に大切なことです。
光に対する基礎知識を持ち、光の性質を理解し、常に光を意識することで写真は上達します。
毎日の生活の中で「今日の太陽はどんな角度かな」「いまの光はどんな色温度かな」と意識しながら、撮影してみてくださいね。