Hazuki Natuno

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終わりとはじまりのシークエンスの中で

終わりとはじまりのシークエンスの中で

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2020年11月25日水曜。今日は大雨だった。
どうしても用事があって、図書室のある地域福祉センターまで歩く。
3kmある地域福祉センターに着くまでに、靴も靴下もぐっしょりと濡れた。
提出物を出して、バスで帰ろうとするとバス停の前を軽バンが止まる。
知人が私を気にかけて、車を止めてくれたようだ。
ありがたく、ご好意に甘えて家まで送ってもらう。
小止みになった雨は、帰宅する頃には大振りになった。

雨音を聞きながらうたた寝する。
私は低気圧に弱い。雨が降るとすぐ眠くなる。
一眠りした後は、いま手掛けている動画編集の仕事に取り組む。
動画編集の作業は好きだ。
音楽に映像を合わせて編集することは、ジグソーパズルを組み立てる作業に似ている。
なかなかピースがあわないだけに、ぴたりと嵌ったときの快感が堪らない。
何度もBGMに選んだ音楽を聴き込んで、イメージを重ねあわせていく。
BGMの中に重なるインタビューと様々な効果音。
雨音も重なって、交響曲のようだ。
こうした快感が欲しくて、動画を作っているのかもしれない。

いま作っている動画は、小笠原グリーン株式会社という小笠原村父島にある企業の事業の記録映像だ。
小笠原グリーンは島内に生息する植物の外来種「アカギ」や「ギンネム」を伐採し、和紙や木工製品に加工して有効活用する事業を行った。
その記録を仕事として任されて、9月から11月にかけて写真撮影と執筆と動画制作を担当している。
いまは全ての撮影と文章執筆が終わり、動画編集を残すだけだ。
あと少しでこの仕事が終わると思うと、少し感慨深い。

どんな物事にも、終わりはある。
恋にも、仕事にも、人生にも。
そして終わるからこそ、始まりがある。

雨音の中で、終わりとはじまりのシークエンスは続いている。
私はすでに過去になった日々を編集しながら、新たにはじまろうとする何かに耳を澄ませた。