Hazuki Natuno

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2020年代の未来を創ろう 〜大切なのは「分かちあう」こと〜

2020年代の未来を創ろう 〜大切なのは「分かちあう」こと〜

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夏野葉月です。新年あけましておめでとうございます。
今日から2020年がはじまりました。2020年代最初の1日を迎え、晴れ晴れとした気持ちでいます。
今日はこれからの10年がどのような10年になってほしいか、私が皆さんとどのような未来を創りたいと思っているか、書いてみたいと思います。

1:2020年代は「分かちあう」ことがキーワードになる

私は2020年は「分かちあう」ことがキーワードになると思っています。
シェアエコノミーの台頭に象徴されるように、2010年代は「シェア(共有)」という価値観が非常に重要になりました。
シェアハウスやシェアオフィスあるいは様々なレンタルサービスが生まれたように「共有すること」が新たなビジネスになった時代でした。
私はこうした「共有」が「分かちあう」に変わっていくのではないかと思います。

2:「Share」と「共有」と「分かちあう」の違い

日本語では共有と分かちあいは別の単語ですが、英語ではどちらも「Share」と訳されます。
では、共有と分かちあいは何が違うのでしょうか。
それは「有るものを共に持つ」ことと「形のないものを共に分かちあう」の違いです。

共有はすでに有るものを共に持つことが前提になります。
お金や時間、あるいは物や場所はすでに「有る」ので、関係する人数が複数いても、共有することができます。

では、形のないものはどうでしょうか?

例えば、喜びや悲しみといった感情。
年老いた人への介護。
子どもの子育てや教育。
地域のお祭りやイベントの運営。
困っている人が求めている助けについての情報。

普段形として意識しないものでも、実は私たちは様々なものを分かちあい、社会の中で分担しています。

3:崩壊しつつある社会システムをどう支えるか

私たちはこうした社会を支える様々なサービスや労力を、関わる人の善意や国や行政の働きに期待しています。
ですが、こうした無形の努力でなされる社会の仕組みは徐々に崩壊しようとしていると私は感じています。

例えば子どもの虐待死の増加です。
これまで親の無償の愛が前提となっていた子育てが、親自身の個人の努力ではすでに維持できなくなってしまっている。
非正規雇用の増大に代表される社会の歪みが生む経済的な構造も、経済的困難を一部の人に生み出すという形で後押しをしています。

これまで地域のコミュニティが機能していた時代は、コミュニティそのものが困った人のセーフティネットになっていました。
困った人の情報が伝わり、助けるための網がそれとなく用意されました。
そうした自然発生的な助けあいは徐々に消え、孤立した人々の孤独死が絶えません。
善意や他者の努力あるいは行政の仕事だとみなしていた、幸せに生きていくための社会システムが崩壊しつつあるのが今の日本社会だと私は思います。

4:幸せになるための「責任」と「行動」を分かちあう

シェアエコノミーに代表される「共有」と「分かちあう」の1番の違いは「責任」です。
物や場所の共有には責任が伴いません。
正確には物や場所を持つ人には管理責任が発生しますが、利用する人には重い責任は負わなくて済む。
でも、介護や教育はそういう訳にはいきません。
関わりあうすべての人々に責任が発生する。
いま、日本の様々な社会保障や福祉制度に限界がきていますが、それはある種の「責任」の問題であると思っています。

では、物や場所以外の介護や教育や目に見えない様々な福祉における責任とはなんでしょう?

それは「幸せになる責任」だと私は思っています。
私たちは幸せになるために働き、食べ、眠り、生きています。
そうした日々の暮らしに必要な身近な幸せには様々な責任が伴います。
子どもがいたら食事を作り、食べ終わったら食器を洗って片づける。
病気の人がいたら介護し、勉強に困る子どもに宿題を教える。
こうした幸せに必要な行動とそれに伴う責任を「分かちあう」ことが21世紀の社会には必要なのではないでしょうか。

5:「分かちあう」社会を実現するために必要なのは「情報の共有」と「コミュニティ」

ではどのように幸せになっていくための行動や責任を「分けあう」ことができるでしょうか。
そのためにはなにが必要でしょうか。

1つは「情報の共有」です。
もっとはっきり言えば、「困ったときに助けを求めること」、「助けてもらいたい内容をきちんと記録すること」、「そして助けてほしい人とその人に必要な手助けの内容をプライバシーに配慮したうえで情報共有すること」が必要になると思います。

2つめに大切になるのはSNSなどを利用した「心理的に安全なコミュニティの形成」です。
「お互いへの助けあいの気持ち」そして「責任を分かちあう仕組み」として、場所や地域にとらわれないコミュニティの形成がとても大切になると思います。

6:2020年代に必要なのは「愛情を学ぶ」こと

3つめは「愛についての学びを深めること」です。
私は愛とは「自分が周りの人や環境など関わる人のためが幸せになるために行動すること」だと考えています。
そして残念ながら、いまの日本には愛が足りません。
私は愛はある種の技術だと思っています。
相手のために行動することや相手を思いやるためには、相手を尊重し傷つけずにコミュニケーションをするための技術や知識や経験が必要です。
慶應義塾大学では「幸福学」という幸せについての学問を学べるシステムデザインマネジメント学部があります。
前田先生という指導教授の元、「どのようにすれば人は幸福になれるか」という研究が行われています。
幸福学のように、愛を学ぶ学問「愛情学」が2020年代の社会には必要なのではないでしょうか。
愛は本能ではなく、後天的に身につけるスキルです。
愛する気持ちだけでは愛を実践するには足りません。
どのように愛を伝え、行動し、お互いに幸せになっていくか。
そうした愛するという行動の技術を高める学びが学問として必要になると私は考えています。

7:まとめ 〜2020年代を未来を創る喜びを「分かちあう」ために〜

長い文章を読んでいただいて、本当にありがとうございます。
2010年代に生まれた見えるものを「共有」する時代でした。
2020年代は形のないものを「分かちあう」時代になると思います。
そのために必要なのは「情報の共有」「コミュニティの形成」「愛についての学び」だと私は考えています。
愛について学びあい、幸せになるための行動や責任を分かちあう。
そうして新しい未来を皆で共に創っていく、素敵な2020年代がやってくることを私は願っています。