父島の小港海岸に来ている。
風が強く波が荒く、サーフィンをするにはもってこいの陽気で、サーファーが2人波間に遊んでいる。
私はお気に入りのベンチに座り、太陽の光が波を照らすのを見ている。
足元の砂をじっと見る。
流木とテリハマボウの葉の間に、砂が煌くように広がっている。
この島はサンゴ礁の砂が多く、白い砂浜が多い。
小港の砂浜は、石と珊瑚が混じった美しい灰色をしている。
肌理細やかで、歩くと足が浮き立つような心地がする。
この砂浜で波の音を聞いていると、騒ついた心が落ち着いていく。
私はどうしても生きていくことが上手では無い。
人の間で小器用には振る舞えない。
でも自分なりに感じて書くことは、とても好きだ。
私にとって書くことはとても大切なことで、呼吸をしたり泳いだりしてるような気持ちになる。
鳥が空を飛ぶように、魚が海を泳ぐように、私は文章を書きたい。
言葉に乗せた心を誰かに伝えたい。
言葉には魂が宿ると言う。
であるならば私の言葉に込めた私の魂が、誰かの心を潤すものになったら嬉しいと思う。
言葉はある種砂のように儚い。
だけどそれでいて永遠だ。
砂は海の波にかき消されてしまうこともあるけれど、それでも消える事は無い。
私の言葉もこの風や波や砂のように儚い。
それでも誰かの心に砂のように残ればと願っている。