Hazuki Natuno

Hazuki Natuno

Menu
僕を包む冬の光

僕を包む冬の光

Back to blog list

お風呂に入り忘れて死ぬように眠り込んだ僕を、消し忘れていた目覚まし時計が起こす。
うっすらと差し込む冬の光に誘われ、僕は目覚めた。
ミルク色の光はやけに綺麗で、僕はひさびさにベランダに出る気になった。
そう、ベランダで立つことも唄うことも忘れるぐらい、今週は忙しかったから。

濡れた土の上に降り注ぐ、暖かな光。
ふと僕は、いま眼の前落ちた雫を眼で追いかけた。
部屋の中では気がつかなかったけど、本当に微かな白い雨が降っているのだ。

日差しの中に降り注ぐ、柔らかな水のベール。
狐たちが嫁入りをする、と表現したのもわかる気がする。
静かで神々しい、冬の雨に相応しい光景だった。

軒下に守られて、手を伸ばしても雨に触れることは叶わなかった。
散歩に行こうか、と考えてふとあの人のことを思った。
あの人にこの風景を見せてあげたいと思った。
この暖かさを、光を、雨を、贈りたいと思った。
たぶんいまでも夢を追いかけている、あの人に。
それでも愛することを忘れられない、あの人に。
僕に信頼という言葉を教えてくれた、あの人に。

それでこうして僕は文章をしたため、ネットの海の隙間にこうして流す。
どうか僕が狐たちから貰ったこの温かさが、流れ流れて君のところに届きますように。
そう、静かに祈り、願いながら。

2007年12月23日記す

Archive

New post